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手コキ屋さん3

「あ、もしもし佐藤ですけどぉ、指定の場所に着きました~」

誰?

俺の友人に『佐藤』なんて苗字の人間はいない。
母親の旧姓くらいでしか聞いたことないんだが。

「あ? こういうところで予約する時に本名なんて使わんでしょ普通」

「そっか~」

(デリヘルを予約する時も全部本名なんだが……)

「じゃあ北尾さんも連絡して! 電話番号はこれね! 名前は北尾で予約してるから」

(俺は本名なのか……)



―――――――



立川のクラブセガと同じ通りにあるローソン。

ここから電話をかけると、この後の行動が指示されるらしい。

電話の指示通りにローソンの隣にある階段を上がると『レンタルルーム』の文字。
この一室を使って有料チンチンしごきが行われているってわけ。


「店に入ったら受付で『○○亭、30分で』って言えば鍵を受け取れますから」


電話の向こう側にいるボーイの、やけにハキハキした声色を思い出す。
指示通りに受付をすると店内を見渡す余裕が出てくる。

装飾は南国っぽい感じだが、部屋がたくさんある一般住宅みたいな雰囲気。
1本の通路の両側にドアが3つ、4つと続いている。

部屋の鍵を開けると、ごく狭いビジネスホテルを思わせる作り。
ベッドと小さいシャワー室、残り半畳ほどのスペースがフローリングの床である。


あとは待つだけ。女の子が来るまでシャワーを浴びるなり煙草を吸うなり時間を潰す。
どうせキレイに洗ってもチンチンを舐めさせるようなこともない。俺は煙草を吸って待つことにする。



―――――――



5分ほど待つとドアがノックされる。
デリヘルの時もそうなのだが、この瞬間が一番緊張する。

めっちゃトイレに行きたいし……


脂汗をかきながら嬢と対面。


へぇ~

そっか

まぁそうだよな


という感じのご尊顔。


店のサイトでは20歳ぐらいだと書いてあった気がする。
そこには、一度出産を経験してどっしりとした貫禄が出てきた主婦みたいなオーラを醸し出す女がいた。


「さりなです~、よろしくお願いしますね~」


口調にもどことなく母親の余裕が見え隠れする。

俺のちんちんも、キチンとすすぎをせずにハンガーにかけられた水浸しの靴下みたいになっている。


「じゃあオプションの説明から始めますね~」


ベッドに並んで座ると、嬢がA4サイズのプラカードを差し出してくる。

見ると、店主が方向性を見失ってしまった中華料理屋よろしくどっさりとオプションメニューが並んでいる。


「オススメは2000円の『生乳もみ&吸い』だから! 俺はいつもコレをオプションで付けてるから!」


店に入る前の、友人の佐藤の声が頭に浮かぶ。


「………」

「どうします?」

「………」

「………」

「…………ディープキス……」

「はい、わかりました~」


2000円だった。



―――――――



「じゃあ脱がせますね~」

嬢は手慣れた所作で俺のズボンを脱がせていく。


「あの」

「はい?」

「上も脱いだ方がいいんスかね?」

「あ? ……あ、はい、そうですね~」


チンチンいじりとキスをされるだけなのに意味不明な質問をする俺。

肌色の汚いアザラシが出来上がる。


嬢はバッグからローションを取り出し、腕を上げるほど高い位置に掲げると、チンチンめがけて粘液を押し出す。


「ンヒッ!w」


冷たい。


「あ、冷たかったですか~ごめんなさ~い」

言いながら手でチンチンにローションを塗りたくっていく。


(けっこうキモチいいな……)


やはり他人にチンチンを触られるという行為。
普段の生活でなかなか得られない経験なので優越感がある。


「じゃあキスしますね~」

「あ、はい」

嬢が口に舌を突っ込んでくる。


「あ」


無味無臭である。


キスをする際に嬢の口が無味無臭というのはかなり重要な要素である。
たまに異様に口が臭い嬢がいるのだが、舌の感触よりも口臭に意識を持っていかれて精神的なダメージが大きい。


って、煙草を吸っている俺が言ってもしょうがないですね。

ごめん。



頭の後ろで手を組み、無言でチンチンいじりを見ている俺。

「こういうのには、よく行ったりするんですか~?」

嬢が聞いてくる。

「まぁ……たまに」

「へぇ~、1ヶ月ぶりぐらいとかですか?」

「まぁ……そうですね」

そんな会話を繰り返している。



―――――――



「………」

「気持ちいいですか?」

「………まぁ……はい」

実を言うとあんまり気持ち良くない。

確かに最初の5分ぐらいは、カチカチに勃起する程度に心地の良い刺激があった。
しばらくするとチンチンが麻痺してきたのか、感覚が鈍くなり勃起状態を保つだけで精一杯という感じになりつつあった。

「……え~~~、そこじゃなくて、もうちょっとこっちを擦って欲しいというか」

「……こうですか?」

「あ、そう……あ、あ、ちょっと違います、あ」

説明能力に難があるのでどうシコシコして欲しいかも伝えられない……


虚しい………


そんなこんなしていると嬢がセットしたタイマーが鳴り始める。


「あ、5分前になっちゃいましたね……」

「はい」

「ごめんなさい~、上手くできなくって~……」

「あ、いっすよ」


平静を装う。

シャワー室に入ると、追加に追加したローションでドロドロになったチンチンを洗う。


また、射精できなかったね。



―――――――



「あ、北尾さん、どうだった?」

「まぁ、普通かなって……」


店を出るとローソンで友人が待っている。
明らかにニヤニヤしているので、戦果が一目瞭然である。


「いや~~~~~~良かった!」

「そっか」

生返事。


終電に乗るという友人を、立川駅まで見送る。

改札の先に消えていく姿を見ながら、ふわっとした脱力感が襲ってくる。


「帰ろ……」


俺は踵を返し、一層冷え込んできた空気に逆らいながら、東横インへ歩き始める。



おわり

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