初めてデリヘルを呼んだ時の話

俺の連休が終わりますね。

そんなわけで、初めてデリヘルを呼んだ時のことを書きます。

 

――――――――

 

ソープに通いだすようになってから、俺の中で変わったことがある。

それは、

 

「オナニーで射精するの、もったいないな」

 

という感情である。

 

ソープに行くまでは、お気に入りのエロ同人(回転ソムリエ)でシコシコ射精することに何の不自由も感じていなかった。

でも、ソープで他人の手によって射精させてもらうことに、何か「射精の快楽以上に得られるもの」を見いだしてしまった。

 

気づいた時にはもう全部終わっていた。

 

――――――――

 

小倉にはソープ街がある。

 

そんなに大きくはないのだが、明らかに他の場所とは一線を画すような、ドロドロとした怪しい空気が流れている場所がある。

そこで俺は、60分17000円程度で射精させられていた。

ちょうどボーナスが入った時期だったので、お金はいくらでもあるというような錯覚に陥っていた。

でもそんな状態も束の間、すぐに口座の残高はボーナスをもらう前の状態に戻ってしまった。

 

(バカなことをしてしまった)

 

思っても、もう何もかもが遅いのである。

 

とはいえ、他人の手で射精させられる快楽を忘れられない俺は、耳に挟んだことのある『デリヘル』という存在に目を向けてみることにした。

 

『デリヘル』とは。

 

電話一本で女の子がチンポを握りにやってくる、クソ高いピザハットみたいなものです。

基本的に女の子はチンポを上下にしごくか、口に含むかといった感じのサービスで、セックスはしません。

セックスをするよりも、手で握られるとか舌で舐められている方が気持ちいい時もあるので、俺にとってはデメリットが見えなかった。

 

その日もソープ街をうろついていた俺だったが、仕事終わりというのもあって、0時を回ってしまった。ソープは、大体が0時を過ぎると店を閉めてしまう。

 

行き場をなくしたチンポが泣いている……

 

お前に悲しい思いはさせないからな……

 

――――――――

 

「はい。デリ○○ですけど」

 

聞き取りづらい声が電話越しから聞こえてくる。

声も、若いのかそうじゃないのか分からなかった。

 

深夜1時。

俺は自宅からデリヘルに電話をしていた。

 

デリヘルを呼ぶ時は、ホテルに呼んだりする人も多いらしい。

基本的にデリヘルの料金設定はソープよりも安めなのだが、ホテル代を自分で払うと結局ソープと同じような値段になってしまう。

俺は、それを避けたかった。

それに俺は1人暮らしだ。怖いものなんて無い……

 

「あ、あの、おまかせコースでお願いします……ッヒ」

 

俺はソープを使う時は、フリーで入るようにしている。

だって、指名した女の子が人間じゃなかったら……?

フリーで入った方が『フリーだから……』と自分に言い訳できる。

 

俺はいつだって逃げ道を探しているんだ。

 

――――――――

 

『ピーンポーン』

 

チャイムが鳴る。

 

「!!!!!!!」

心臓が跳ね上がる。

 

布団に寝転んで蛍光灯を眺めながらチンポを甘イジリしていたら、もうデリヘル嬢の到着の時間になっていたらしい。

上がる心拍数を何とかコントロールしながら玄関へ向かう。

 

「はい……」

ゆっくりとドアを開ける。

まだ姿は見えない。

 

「ど、どうも初めまして」

 

ドアの影から女の子が出てきた。

 

身長150cmも行かないような、小柄な子だった。

髪の毛は茶色で、この仕事でよく見る感じで、若干痛んでいた。

歳は若く見える。

 

「は、入っていいですか?」

「あっ、どうぞ」

 

女の子は、なんだか緊張しているみたいだった。

靴を脱ぐ動作もぎこちない。

 

聞くと、どうやら今日初めて出勤したらしい。

 

でも俺が何人目かまでは教えてくれなかった。

聞く俺もかなり気持ち悪い。

 

「じゃあ……交通費含めて60分、13000円です……」

「あ、はい」

 

居間に座る女の子に、財布からお金を抜き出して渡す。

 

ソープだとお金を渡すのは受付の男の人なので、こうやって女の子に直接お金を渡すと「本当にこの女の子は、お金を払うとちんちんをシコシコしてくれるんだよなぁ……」と、えらく『現実』を感じてしまう。

 

少し悲しくなった。

 

「あの、お風呂入りますか……?」

 

女の子が聞いてくる。

 

「あっ、はい……」

今になってメチャクチャ緊張してきた。

お腹が痛くなってくる。

 

こういう時にお腹が痛くなると、『行為中にどうしてもデカい方をしたくなったら、やっぱりその時間もカウントされちゃうのかな……? そうだったら絶対デカい方なんて出せないよな……』とか考えてしまう。そして余計に痛くなってくる。大体は大丈夫なんだけど。

 

「先に入ってください」というので、俺だけ服を脱いで狭い風呂に入る。

 

寒い。

冬である。

 

風呂場で凍えていると、女の子が「お邪魔します」と言いながら入ってきた。

 

裸で入ってきた女の子は、かなりおっぱいが大きかった。

聞くとEカップらしい。

といっても俺は身体を洗われただけで、全く揉めなかったのだが……

 

風呂から出、布団の上で全裸状態のまま胡座をかいていると、女の子が「お待たせしました」と言いつつ部屋に入ってくる。バスタオルを身体に巻いていた。

 

「寝転がって、楽にしてください」

と言うので、布団の上に肌色のマグロが産まれてしまった。

 

女の子は自分が持ってきたバッグから、ローションが入ったボトルを取り出し、俺の身体の上に掲げる。

 

「ちょっと冷たいかもしれません」

 

トローッ

 

「ンヒィッ」

 

気持ち悪い声が出た。

 

女の子は無視してそのままチンポを握り始める。

 

「オッ…オッ…」

 

気持ち良い。

毎回思うが、やっぱり女の子にチンポを握られるのは嬉しい。

感謝が溢れてくる。

 

「どうですか?」

「いい~」

 

頭が悪そうな返事になる。

 

気持ち良いけど、やっぱり『人にチンポを握られ慣れてないので恥ずかしい』という気持ちもあって、ちゃんとした返事が出来なくなるんだよな。

 

哀れだね。

 

「………」

シコシコシコシコシコシコシコシコ

「………」

 

そのうち、どちらも無言になってきた。

女の子は、俺のチンポを無限に凝視しながら扱き続けている。

 

「………」

 

俺も、会話の種が見つからずに本物のマグロになっている。

 

「あの……」

女の子が口を開く。

 

「口でも、した方が良いですか……?」

首を傾げながら聞いてくる。

 

「あ、はい」頷く。

 

女の子は、俺のチンポにゆっくり口を近づけていき、

 

「チュッ」

 

キスをした。

 

「ほっ」

 

気持ち悪い声が出た。

 

そのまま女の子は俺のチンポを口の中に収めていく。

やがて全部飲み込まれてしまった。

 

「お~~~~……」

感嘆の声が出た。

 

「んふ」

チンポを口いっぱいに咥えた女の子は、笑っているように見えた。

 

やがて激しいストロークが始まった。

口の中は柔らかくて、かなり気持ち良い気がする。

 

(このままなら、すぐ射精できそうだな……)

 

俺は目を瞑って、うんうんと頷いた。

 

――――――――

 

30分後

 

「………」

 

俺は一向に射精できずにいた。

 

確かに最初は気持ち良かったものの、どうしても射精まで到達するような刺激ではない。

精神統一をしながら下腹部に力を入れて、何とか自分自身を射精に導こうとするものの、ぜんぜん射精感が上がってこない。

 

そうやっていると、俺自身かなり疲労してきた。

 

「………」

 

女の子も、必死な感じで無言フェラチオをしている。

口を使ってるから喋れないんだけど。

 

「あの……」俺。

「ぷぁ……なんですか…?」

 

「あの、もう、大丈夫です……」

俺はどうにも居たたまれなくなって、女の子を止めた。

 

「えっ、まだ時間ありますよ?」

怪訝そうに見つめる女の子。

「いや……ホント、大丈夫です、すいません」

謝る俺。

 

「いいんですか……?」

「……はい」

 

こうして行為は終わった。

 

――――――――

 

「………」

「………」

 

2人して無言になる。

改めて風呂に入りなおし、服を着て部屋に座っている。

 

かなりの罪悪感はあったが、正直なところ、アレ以上やっても射精できる自信がなかった。

 

俺は………。

 

「あの」

「は、はいっ」

 

女の子が声をかけてきた。

声が上ずってしまう。

 

「そこにあるの、読んでいいですか?」

女の子は俺の後ろにある本棚を指さす。

 

そこにあったのは、

 

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか

 

今日ブックオフで買ってきたラノベだった。

買ってきたばかりで、まだ読んでもいなかった。

 

「あ、い、いいですよ」

断る理由もないので俺は答える。

 

女の子は本棚からそれを取り出すと、

「これ、気になってたんですよね~」

と呟く。どうやら、こういったものに抵抗が無いらしい。

 

話してみると、アニメや漫画も好きらしかった。

アニメに話が及ぶと、今期見ているアニメについて目を輝かせながら語られた。

俺は、アニメはあまり見ないので「あ~~~~~~~聞いたことはあるよ……」といった具合で、返事が曖昧になった。

 

「そうか~~~……お兄さんも結構、漫画とか好きなんですね」

「まあ……」

 

とにかく曖昧だった。

俺は『好きな漫画が好き』なのであって、『漫画が好き』ではないからである。

 

好きじゃない漫画は別に好きじゃない……

 

とはいえ、九州に来て初めてこんな感じの会話が出来て舞い上がっていた俺は、

 

「あ、あの、良かったらLINEとか聞いていいかな…?」

 

と聞いてしまった。

 

瞬間、

 

(あっ……ヤバイ、かなり気持ち悪いことをしてしまった)

 

と冷や汗が出てきたが、女の子は平然とした顔で、

 

「いいですよ」

 

と返してきた。

正直メチャクチャドキドキしていたし、初めてソープに行った時の非じゃないくらいに汗が出ていた。

 

――――――――

 

「あの、出してあげられなくて、すいません……」

 

玄関で、靴をはき終えた女の子が頭を下げる。

 

「いや、こちらこそ、すいません……」

 

俺はというと、射精できなかったことが、いまだに尾を引いていた。

申し訳ない気持ちになる。

 

「じゃ……」

女の子がドアに手を伸ばす。

 

「あっ!」

思いついた。

 

「え?」

「ちょっと待ってて」

俺は部屋に引き返す。

 

あるものを手に持って、玄関へ踵を返す。

 

「これ、あげるよ」

 

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか

 

だった。

 

「え、いいんですか?」

女の子は目を見開いている。

 

「いや、どうせ読まないと思うし、興味がある人に渡した方がいいかな、って……」

俺は答えた。

 

この時の気持ちはよく分からない。

 

「あ、ありがとうございます、後で読みます……」

 

女の子はそれを受けとりカバンに入れ、無言で頭を下げ、出て行った。

 

「………」

 

俺が残った。

 

――――――――

 

その後。

 

女の子とLINE IDを交換したはいいものの、何も送るメッセージが思い浮かばず、そのまま放置していた。

 

そんなこんなしていたら、知らない間に女の子のLINEのアカウントは消え、デリヘルのHPにあった女の子のプロフィールも消えていた。

 

もう会うこともない。

 

 

おわり

夏の終わり1

小学生の頃に、『サマーキャンプ』というものに参加したことがある。

 

小学生ですでに引きこもり気味だった俺は、母親に連れられるままサマーキャンプを主催している団体の説明会に参加することになった。

母親は、そういった「アウトドア」「スポーツ」「習い事」によって子供の人格が限りなく正しく、また柔軟で、加えて健やかに育つと信じており、俺はそういうものに度々参加させられていた。

俺はというと、断ると怒られることが怖くて、泣く泣く参加していたのだった。

 

その中の一つに、サマーキャンプもあった。

 

――――――― 

 

日差しが強い。

船の上。

 

目を凝らすと、前方に島が見えてくる。

俺がこれから暮らすことになる、西表島である。

 

石垣島からの連絡船で海を渡る。

船が揺れるたびに俺と同じ年端の子供たちが、悲鳴にも似た歓声を上げた……。

 

サマーキャンプとは、小学生や中学生が夏休みの間に一週間前後、同じような歳の子供たちと一緒に暮らすことで自立心や社交性などを学ぶ……といった趣旨に基づく課外授業みたいなものである。

俺が参加したキャンプは、参加者が小学生だけのもので、20人ぐらいのものだったと思う。そのほか引率の大人が3~4人ぐらいといった構成だった。

 

子供は初めて普段見ることないような景色に、大げさに驚いたり喜んだりしている。

俺はというと、東京から飛行機に乗った時点でただひたすら憂鬱だった。

 

理由は色々あって……

そもそも水に濡れたりするのが嫌いだったし、大勢の人間との共同生活も苦痛だった。

というか、旅行といったものが嫌いなのである。

家でゲームをしていた方が楽しい。

 

でも親の言うことには逆らえない。

「○○がちゃんとした人間に育つためには、こういう経験が必要なんだよ!」

「イジメられて学校行きたくない気分になるのだって、○○の心が弱いからなの! 『イジメられたからって何だ!』って気持ちを持てばいいんだから……」

そういう言葉を浴びせられる。

逃げられないんだ。

 

親の言ったことを思い出していたら、船は西表島に到着したようだった。

 

――――――― 

 

船を降りたら港のコンクリートに並んで座るように指示があった。

服を着ていてもケツがジリジリと熱い。

 

「さぁ!ここからは班を作って行動します!みんな、3~4人くらいで班を作ってね~!」

 

出ました。

いきなり辛くなってくる。

 

周りを見れば、すでに飛行機や船の上で仲良くなった子供同士で、続々と班が出来ている。

俺はというと、誰とも話さなかった所為かそういったグループに入れず、透明なケースに入れられたバナナを物欲しそうに見つめて歩き回る動物園のサルのようになっていた。

 

「どうしたの」

「えっ」

 

後ろから声がした。

背の低い女の子だった。

 

「他の班に入らないんだったらウチの班に入りなよ」

 

シャツに付いた名札を見る。

れいな』

 

「あ、い、いいの?」

「いいよ。ウチも一人足りなかったから」

笑いながら言う。

「いいよね?」

他の班員を見る。

 

「アタシは別にいいけど」

俺より背が高い(160cmくらい)女の子が言う。

名札には『さおり』と書いてある。

「レオもいいよね?」

 

『レオ』と呼ばれた、目つきの悪い男の子は、

「いいよ!」

と、目つきの割には明るい声で答えた。

後で聞いたら、レオは『礼央』と書くらしい。すごいね。

 

「じゃ、よろしくね」

れいなが笑顔で言う。

「う、うn」

俺はというと、このグループの””陽””の雰囲気に圧倒されていた。

返事もしどろもどろになる。

 

とはいえ、この3人と、俺を含めた4人が班で行動することになったのだった。

 

―――――――

 

 『サマーキャンプ』という名の通り、普段の寝泊まりはキャンプ場にテントを張って、その中ですることになっていた。

キャンプ場は海に隣接しており、徒歩1~2分程度で泳ぐこともできる。

各自、引率の大人の指示でテントを張ることになる。

俺は当時ボーイスカウトに入っており(親の言いつけで)、テント張りは何回か経験があったので、さほど苦にはならなかった。

それぞれの班がテントを張り終わると、水着に着替えて海で遊ぶことになった。

 

正直、嫌だった。

俺は泳ぐことがメチャクチャ嫌いなのである。

 

海に入ると身体が海水でベタベタする。口の中に水が入る。目の中に水が入る。海水パンツの中に砂が入る。口の中に砂が入る……。

何ひとつとして良いことがない……。

 

とにかく嫌だった俺は、先ほど自分達が建てたテントの中で、着替えもせず体育座りで塞ぎ込んでいた。

 

絶対に泳ぎたくない……。

 

というか、そもそもこんなキャンプに来たくなかったんだ。

家でゲームをしていた方が100倍楽しいに決まってる。

厚くて汗はかくし、集団行動だって苦手なんだ。

何で俺はこんな所に来てしまったんだろう……。

 

そうやって石になっていると、見かねた引率の大人が声をかけてくる。

「○○くん。みんな着替えちゃったよ? ○○くんも着替えて、みんなと遊ぼうよ!」

「………」

「ねぇ○○くん――」

 

何度も何度も話しかけてくる。

俺も意地になって、体育座りをした足の間に頭を突っ込んで黙っている。

 

早くどこかに行って……。

 

すると、急に腕が持っていかれ俺は地面に倒れ込む。

「!?」

痛い。

 

顔を上げると、そこにいたのは『れいな』だった。

 

「ねぇ、いつまでそうやってるつもり?」

「……」

「なんか言いなさいよ!」

俺の腕を掴んで上に引っ張る。力が強い。

 

「あ、い、行きたくない」

やっとこさ声を絞り出す俺。

 

泣きそうだよ。

 

「ここまで来て泳がないってどういうこと!? みんな準備出来てるんだから早くアンタも準備しなさいよ」

「……」

「また黙る!」

その怒号に俺は遂に感極まってしまう。

 

「う……う………」

涙。

 

俺が泣くと『れいな』は若干狼狽えたようで、俺から距離を取る。

でもすぐに俺に近づいて、

「そんなに嫌なの?」

と、さっきとは違って優しい声で話しかけてくる。

 

「う゛……う゛ん゛……」

涙と鼻水が絡んで上手く声が出ない。

 

「じゃあさ……」

俺の肩に手を置きながら、

「今日1日だけ!」

 

「……?」

 

「今日1日だけ泳いでさ、それでもつまんなかったら泳がなきゃいいよ!」

そう提案してくる。

 

「………」

考える。

「ね?」

………

「……う゛ん……わがった……」

小さく俺は答えた。

 

もう疲れていたのもあって、逆らう気力もなかったし、それに、『れいな』が俺に優しかったからだ。

こういう、厳しくされた後の優しさに弱いんだ、俺は……。

 

俺が着替え終わるまで、『れいな』は更衣室の前で待っていてくれた。

(正直、ここまで来たらもう逃げられないよなぁ……)

そう思いながら更衣室のドアを開けた。

 

海で遊ぶのは楽しかった。

 

 

つづく

4連休

まあ、もう終わるんですけど。

 

・1日目

休日出勤

 

・2日目

起きる

ツイッター

おひるね

ツイッター

寝る

 

・3日目

起きる

ツイッター

おひるね

ツイッター ←今

寝る

 

・4日目(予想)

起きる

ツイッター

おひるね

ツイッター

寝る

 

死ね。

2回目に行った風俗の話。

明日も仕事だし、眠れもしないのでソープに足繁く通っていた頃を思い出していきたい。

 

 

―――――――

 

 

俺は別府で初めてソープに連れて行かれてから、ありもしない『何か』を探すようになってしまった。

 

その『何か』が何なのか、いまだに分からない。

ただ、初めてソープに行った時に、

 

「こんなハズない。セックスっていうのはこんなモンじゃないはずなんだ」

 

と思ってしまったのだ。

 

セックスの現実を突き付けられて、ある種の虚無感、あるいは「もっと良いセックスがあるはず」という高齢童貞喪失特有の、拗れた性への願望があったのかもしれない。

 

それから俺は『何か』を探している……。

 

その証拠に、初ソープの翌日、懲りずに同じ通りの無料案内所で 、別のソープを紹介してもらったのだから……。

 

 

―――――――

 

 

案内所のお兄さんに紹介されたソープは、案内所からはかなり離れた位置に鎮座していた。

 

窓が完全に塞がれた、黒い箱みたいなソープの出で立ち。

その割に、入り口から漏れてくる光は不自然なほど明るい。周りにはかなり広い駐車場が隣接していた。

 

俺は案内所の金髪でひょろ長いお兄さんに連れられて、その黒い箱の中に入る。聞くところによると、まだオープンしてから数ヶ月しか経っていないとの事。

なるほど調度品は、ところどころ新しい感じである。

とはいえ建物自体は古いものらしく、壁の隅が黒くなっていたりして清潔感は無い。

 

俺は受付で「可愛い感じの、若い女の子でお願いします……」と伝える。

初ソープでは写真の印象だけで決めてしまって、雰囲気も何も考慮できなかったから。

 

受付の黒髪をワックスでバチっと決めた若いお兄さんは、目の前に写真を数枚並べる。

 

「今空いてるのは、この子たちですかねぇ」

 

俺は写真を眺める。

顔はボケていてよく分からない。

 

俺はとにかく年齢が若そうな女の子を探す。

こういった風俗店では年齢を詐称するのは当たり前であると理解していたし、過度な期待は禁物である。

 

(でも、あまり離れた年齢を書くのは店側としても無理があるよなぁ?)

 

とにかく小さい数字を探すんだ……。

 

 

『19』

 

 

「この子で」

 

「……わかりました。ではあちらの待合室でお待ちください」

 

一番若い女の子を選んだのだった。

 

 

―――――――

 

 

待合室には誰もいなかった。

 

チンチンと一緒にソワソワしながら運命の時を待つ。

貧乏揺すりで太ももの乳酸を発散していたら、

 

「お待たせしました。こちらへどうぞ」

 

と声がかかる。

 

俺は勃起を隠すように若干前屈みでお兄さんの後を着いていく。

 

「ではお楽しみください」

 

奥のカーテンをくぐる。

 

若い。

 

「よろしくお願いします~」

 

声も若い。声が若いってなんだ。

 

想像してたのよりも、結構若い女の子だった。

髪は黒く、背は150cmくらい。

特に印象に残る顔ではなかったが、確かに可愛い感じだったと思う。

 

部屋に向かう道すがら「年はいくつなの?」と聞いてみる。

 

「19歳ですよ」

 

そりゃそうですわな。

指名の写真にも書いてあったんだから。

 

とはいえ、ちゃんと19歳の女の子のように見える。

指名した通りではある……。

その通りではあるんだけど、やっぱり見た目その通りの女の子が来ると、脳が想定していた範囲を超えてしまって緊張する。

 

無事、部屋に到着し、ベッドに並んで腰掛けながら話す。

どうやら出身は大分ではあるが、別府からは離れたところにあるという。

 

「じゃあ身体を洗いましょうね~」

 

今更ではあるが、見た目は若い割にかなり落ち着いている。

服を脱がす手際もよく、脱がした服は素早く綺麗に畳んでくれる。

 

「別の店で働いていた事があるので……」

 

聞くとそう答えてくれた。

 

「なるほどね」

 

俺は答えることに困るとすぐ

「なるほどね」

っつって会話を終わらせるのが悪い癖ですよね。

 

チンチンを触りやすそうな椅子に座って身体を洗われる俺。

胴から腕、足、そして最後にチンチンに手が伸びてくる。

 

いつもそうなのだが、洗身の時にチンチンを触られるのに凄い優越感を覚える。

俺みたいな、一生女の子と縁がないであろう男のチンチンを女の子が触ってくれている…… 。

そういった優越感。

 

「マットしますか?」

 

洗体の後に湯船に浸かっていた俺への質問。

頷く。

 

60分コースで入っているので、マットをしてしまうとベッドは時間的に厳しくなるけど… …、という言葉。

別にベッドでも射精できるほどの体力はないので、それでも構わない と答える。

 

湯船から出た俺は、女の子がローションをひいてくれたマットにうつぶせで寝転がった。

 

「あったかい……」

「ふふ、なんですかそれ」

 

暖かいローションマットが好きな俺。

主人公を含めた『人間の暖かみ』に触れ、今まで見せることのなかった微笑みを浮かべながら消えていく異形のラスボスみたいに、えらくしみじみとした声が出る。

 

「じゃ、いきますね~」

 

女の子が上に覆い被さってくる。

 

「んぁ~イイッ」

 

俺の気持ち悪い声。

 

女の子は手慣れた所作で俺の身体の上を滑っている。

 

「仰向けになってくださいね~」

 

魚市場に並ぶ冷凍マグロみたいな格好で一回転する俺。

女の子は、マグロの至る所にキスをしてくる。

 

そして最後にチンチンに手が伸びてきた。

 

「っふぅ~~~っん」

 

俺の気持ち悪い声。

 

女の子にチンチンを触られると本当に『救われる』って気持ちになる。

『気持ち悪いオタク顔でもお金を出せば誰かに触ってもらえるんだ』という、悲しいけど暖かい救い……。

 

そんな事を考えていると女の子の手の動きが速くなってきた。

 

「(ん……?)」

 

痛い?

痛みが来た。

 

それもそのはずで、包茎の俺は亀頭付近が異様に敏感になっており、あまり強い刺激に耐えられないのである。

 

「ちょ、ちょっと」

 

たまらず声をかける。

 

「んぁ、なんですか?」

 

夢中になっていた女の子が顔を上げる。

 

「ちょっと刺激が強いんですけど……」

 

俺は引き攣った笑顔で答える。

 

そのまま手の速度を緩めてくれれば気持ちよくなれるんだが……。

 

「……ニヤリ」

 

女の子はそのまま手の動きを緩める気配がない。

 

「……ちょ、ちょちょちょちょいっ!!」

 

俺は身を捩りながら逃げだそうとする。

でもローションで滑ってうまく動けない。

 

「………」

 

無言の笑顔でチンチンを擦り続ける女の子。

 

「ンィィィィィィイイイイイイ!!!!」

 

俺が豚みたいな声を上げたと同時に、チンチンが爆発した。

 

「!!!」

 

のではなく、チンチンから透明な汁が大量に噴出してきた。

 

「え?え?え?」

 

女の子も目を点にしている。

俺も目が点になっている。

 

「あれ?これ、おしっこじゃないよね?」

 

女の子は不思議そうに、チンチンから噴出する汁を眺める。

 

「……ッ!……ッ!」

 

水揚げされたばかりで活きの良い魚みたいに、マットの上で痙攣する俺。

 

「あ、もしかして………これ”潮”じゃない!?」

 

キャッキャと嬉しそうに女の子が言う。

 

放心状態になりながら「そ、そうなんスかね…」と返事を返す。

 

「へぇ~!すごいねぇ~!男の人の潮吹きなんて初めて見た~♪」

「あ、あの、すごいキツいんですが、下腹部が……」

 

息も絶え絶えである。

 

「へぇ~……」

 

女の子が何か言いたそうな顔を俺に向ける。

 

「な、なんですかね」

 

「あの……」

 

「……はい」

 

「もう一回していいですか!!??」

 

「えっ……?」

 

女の子は目を輝かせている。

 

かなりキツイのに2回なんて無理だろ!

それにまだ、射精もしてないんだけど!

 

「ちょ、ちょっと2回目は……」

 

俺は下腹部に鈍痛を感じながら、なんとか声を絞り出す。

 

「……」

 

無言の女の子。

 

「……」

 

シコシコシコシコ

 

「ちょ……」

 

シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ

 

「……ちょちょちょちょちょ!!!!1」

 

シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ

 

「わ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」

 

そして俺は2回目の潮吹きをした……。

 

 

―――――――

 

 

「ありがとうございました~」

 

「……ッ……ッ…」←股間の痛みに耐えている

 

受付のお兄さんに見送られてソープを後にする俺。

2回目の潮吹きをしてしまった後、結局射精はできなかった。

 

女の子は、

「ごめんなさ~い、上手くできなくて……」

とか言ってたけど、あの潮吹きがなければ射精はできてたと思う。

 

セックスもできなかった……。

 

俺は強い風に吹かれながら、ビジネスホテルへの道を歩く。

 

「明日も仕事だし、今日は帰ったらすぐに寝よう……」

 

痛む股間を意識しながら歩みを進める。

季節はもう、すっかり冬になっていた。

 

 

おわり

永遠

俺が生まれた小さな村の小さな公民館で行われた成人式。

参加している人間は半分もいない。かなり静かなものだった。

 

式に参加した新成人(俺含め)の名前が1人ひとり呼ばれていく。

 

その時。

 

「え~、みなさんと一緒に20歳を迎えるはずだったルーカス・フェーハス君ですが、故郷のブラジルで15歳の時に亡くなっております。お悔やみ申し上げます……」

 

「えっ」

 

参加者がどよどよしてくる。

 

とはいえ、進行には特に支障なく、その後またすぐに他の新成人の名前が呼ばれていく……。

 

俺はというと、「ルーカス」という、懐かしい名前を聞きながら昔を思い出す。

 

 

―――――――

 

 

小学校低学年の頃、うちのクラスに留学生が入ってきた。

 

「初めまして、ルーカスです。よろしくお願いします」

 

頭を下げる。

 

ルーカスはブラジル出身で、父親の仕事で生まれて間もなく日本で暮らすことになったらしく、日本語は上手だった。

髪の毛は金髪で、肌は白かった。そもそも外人を初めて見たので、ブラジル人が全員こんな感じなのかは分からなかった。

 

外見以外はどこにでもいる小学生という感じだったので、クラスの人間も最初は物珍しく思っていたけど、1ヶ月もすれば他の人間と同じように馴染んでいた。

 

俺はというと、小学校低学年の頃は今ほど人間が怖くなかったのでルーカスにも普通に話しかけたりしていたと思う。

 

そのうち友達になった。

 

ルーカスは俺の家の近所にある賃貸アパートに家族で暮らしていて(というか裏庭のすぐ近くだった)、放課後や休みの日には、よく遊んだりしていた。

 

小学生と言えばゲーム、ゲームといえばテレビゲームだった。

 

俺の家には灰色のプレイステーションが置いてあったので、それで初代クラッシュバンディクーやスパイロ・ザ・ドラゴン、クロック!パウパウアイランドといったアクションゲームを交代でキャッキャ言いながらプレイしていた。

 

ルーカスの家には黒いセガサターンがあったので、彼の家に遊びに行った時にはバーチャコップダイナマイト刑事(警察好きか?)みたいなゲームを遊んでいたと思う。記憶が曖昧なんだけど。

 

「死んだら交代だから!」とどちらが言い出したかは分からないが、そういうルールで常にプレイしてた。

 

でも結局どのゲームもクリアできなかった。

 

2人ともゲームがヘタクソだったし、2人で遊ぶと決めたゲームは2人でクリアするんだと言って、1人でいる時は遊ばないようにしてたから。

 

学校生活でどういう付き合い方をしたかは全然覚えてない。

 

 

そんな日が2年ぐらい続いたある日、ルーカスは転校することになった。
というか、国に帰ることになった。

 

クラスの人間たちは別れを惜しんで泣いたりしてたと思うけど、俺は特に思うところはなかった。

 

だって同じ世界にいるんだから、ブラジルに行ったとしても、いずれまた会うこともあるだろうと感じていたから。

 

俺とルーカスが最後に遊んだ日、俺は彼の家に行った。

最後にプレイしたゲームは思い出せないけど、俺が自分の家に帰る時、

 

「これあげる」

 

と言って彼がゲームを渡してきた。

なんだろ、と思って見ると、

 

バーチャコップ

 

だった。

 

なんで、と理由を聞いたら「いらないから」らしい。

 

家に帰る俺を笑顔で見送っていた彼だったが、一方俺はというと、
「うちプレイステーションしかないけど、どうやってプレイすんだこれ……」
と悩んでいたと思う。

 

ルーカスがブラジルに帰った後、遊ぶ相手もあまりいなかった俺は、一抹の寂しさを覚えつつも次第に彼がいた記憶も薄れていった。

 

 

彼がくれた『バーチャコップ』はまだ家にあると思う。

 

 

―――――――

 

 

そんなことを成人式で思い出したりしてた。

 

死んじゃったからもう会えないんだけどね。

同人誌、同人ゲーム、同人ソフトのダウンロードショップ - DLsite.com