普段使ってるブラウザがGoogle Chromeなんですけど、動作が異常に重くなったので何も考えず昔使ってたMozilla Firefoxに戻したら、これまた異常な動きをしはじめて変な声出た。

みなさんには申し訳ないけど、もう俺は助かりません。

部活

「○○くん……、日曜日の午後2時に、シティホール○○に来てほしいんだけど……」

携帯電話の向こう側から声がする。

吹奏楽部の圭子先輩(仮名)の声だった。

「……」

俺は戸惑っていた。

学校を休んで自宅のベッドで寝転んでいる時に、普段鳴らない携帯電話が急に音を立てて動き始めたからだ。

圭子先輩にも、入部した時に携帯電話の番号を教えただけで、それから一度も連絡を取ったことがなかった。

それが、なぜ今になってこんな連絡をしてきたのか分からない。

 

「それで……、大丈夫? 来れる?」

圭子先輩が俺に返事を求める。

「あの、何があったのか聞きたいんですが……」

そもそも、何のために俺がそのシティホール○○とかいう場所に行かなきゃいけないのか。

「その……」

「……」

先輩の返事を待つ。

 

「3年の……滝口先輩がね、交通事故で亡くなったんだよ。……それを見送るために、みんなで演奏しようってことになったの。○○くんも、まだ部の一員だから、やっぱり出てほしくて……」

 

「……」

 

――――――――

 

シティホール○○は、俺が通っている高校と同じ市にあった。

市の中心を通るバイパス沿いに位置しており、ここ数年前に建ったばかりだ、という話を母親から聞いた。

最近は自分の家で葬儀を行う家庭も少なくなり、こういったシティホールでパッケージ化されたプランを選ぶことが多いらしい。

6階建てくらいのビルで、正面にはちょっと高級なホテルにあるような、屋根付きの車寄せエントランスが構えられていた。

入り口を抜け、エレベーターまで向かうと、同じ種類の看板が2つ立ててある。

 

一つは『滝口家葬儀会場 ○階』

もう一つには『山口家葬儀会場 ×階』

 

と書いてあった。

滝口先輩の葬儀とはまた別の、他の誰かの葬儀も、同じホールの別の階で行われているらしい。

 

エレベーターのドアが開くと、見知らぬ学校の制服を着た女の子数人が降りてきた。『山口家葬儀会場』から出てきた女の子だろうか。

ちらっと目をやると、一人泣きじゃくる女の子を、他の女の子が必死に慰めているらしい。

俺は気まずくなり、その子達とはなるべく目を合わせずに、入れ替わりでエレベーターに乗り込んだ。

看板に書かれていた葬儀会場の階のボタンを押す。

 

ドアが閉まる瞬間、泣いている女の子の声だけが聞こえた。

 

――――――――

 

滝口先輩は、俺が所属していた吹奏楽部の部長だった。

背は180cmくらいあって、部の中では一番大きかったので、いかにも『部長』という貫禄のある人だった。

 

今でも覚えているのが、俺が部活に入って間もない頃のこと。

 

とりあえず余っていたから、という理由でトロンボーンの担当になり、ひとまず音は安定して出せるようになったかな、というさなか、『町内のイベントで演奏会をする』ことが決定した。

 

素人同然の俺も、顧問の先生の「場数を踏まなきゃ上手くならないだろ」という方針のもと、強制参加という形になったのだった。

 

当然それに向けて練習をするのだが、楽譜自体にも初めて見るような記号が使われているし(トロンボーンは音が低いのでト音記号の音域ではなく、ヘ音記号の音域で演奏をする)、そもそも管の伸縮で音程を変えるので、その管の””位置””を覚えるのもかなり苦労する。

 

そうこうしているうちに、演奏会の前日になってしまった。

 

放課後の練習が終わった後に、俺は自分の思っていることを、部長である滝口先輩に打ち明けた。

「すみません。滝口先輩。自分、やっぱり演奏会、ちゃんと出来そうにないです……。いくら練習しても同じような所でつまづくし、情けなくなります。こんな状態で、人前に出たくありません……」

俺も頭の中では『本番の前日に何を言ってんだよ、馬鹿かコイツは』と自分で自分を罵ったりしていた。でもそれ以上に、人前で恥をかくのが、とにかく怖かった。

「そうか……」

それを聞いた滝口先輩は、そう呟くと目を瞑って何かを考えているようだった。

「○○」

「はい」

怒られるのか、とビクビクする。

「そんなの関係なくないか?」

滝口先輩は笑いながら言った。

「え、でも……」

「大丈夫だから。お前一人の演奏なんて、イベントじゃ誰も聴いてないよ」

「そうなんですか……?」

「そう。譜面をちゃんと演奏できるか、とか、失敗する、とか別に大した問題じゃないよ。一番重要なのは、『そういう場所に慣れる』ってことだから」

「……」

先輩は俺の背中をひときわ強く叩く。

「だから、一緒に演奏しようぜ」

 

――――――――

 

そんなことを思い出しながら、今は真っ白になってしまった滝口先輩の顔を見つめていた。

 

「……」

 

滝口先輩は、父親の運転する車に乗って市内のスーパーマーケットに向かっている最中、交差点で信号無視をして走ってきた車に追突されたらしい。

助手席に乗っていた先輩は、左から走ってくる車に潰された。

事故当時は顔面の半分が無くなっていたそうだが、棺桶の中に横たわる先輩の顔はかなり綺麗になっている。どういう技術かは分からない……。

 

先輩の顔を見ていても、特に何の感情も湧いてこなかった。

入部当初は気にかけてもらっていたが、俺が幽霊部員になり学校も休みがちになると、顔を合わせることもほとんど無くなった。

深く付き合っていたわけではないからなのか……、自分でも分からない。

 

先に焼香を済ませた圭子先輩が、棺桶が置かれた部屋の出口で泣いてるのが見えた。

俺はその横をすり抜けようと歩みを進める。

 

「(あれ……?)」

 

なぜか急に、視界がぼやけてきた。

 

「(え?)」

 

瞬きをすると、どうやら目頭から涙が流れているようだった。

 

「(泣いてんのか? コレ……)」

 

自分でも、何で涙が出てきたのか分からない。

よく分からなかった。

 

――――――――

 

翌日、滝口先輩の入った棺桶をシティホールから火葬場に移動させる、告別式があるという話だった。

 

「告別式には楽器を持ってきてね。○○くんは、トロンボーンを持って○○時だからね」

 

圭子先輩から、葬儀場から帰る際にそう伝えられていた。

俺は家から引っ張り出してきたトロンボーンを、一度チェックで開けてみた。ちゃんと手入れをしていないからか、少し唾液の臭いがするような気がした。

 

シティホールに部員全員が集合したら、一度、顧問の先生の指揮でリハーサルをするようだった。『リハーサル』という行為自体久しぶりなので、無駄に緊張してしまう。

相変わらず、上手く演奏できない。

 

「……」

 

でも、ちゃんと演奏できなくていい。

雰囲気が重要なんだから……。

 

リハーサルが終わると、少しざわざわしてきた。

もうすぐシティホールの入り口に霊柩車がやってきて、滝口先輩の棺桶を乗せて後に火葬場へ直行するそうだ。

周りの部員を見ても、もう泣いている人はいない。

みんな真剣そうな顔で、最後の楽器チェックや譜面チェックをしている。

 

すると、それっぽい車が車寄せエントランスに入ってきた。

 

「じゃあいくぞ」

 

顧問の先生。

 

「ワン・ツー……」

 

俺の吹いたトロンボーンからは、いきなり譜面と違う音が出てしまった。

 

 

 

 

 

 

おわり

人の未来

みなさんは『DVD-PG』という言葉をご存じですか?

 

DVD-PG……DVD Players Gameのことで、簡単に言うと、家庭用のDVDプレイヤーでプレイするゲームソフトです。

ご家庭に一台はあるDVDプレイヤーにディスクをセットすれば、ハイ、終わり。あとは映画を見るときのように、リモコンを操作すればゲームをプレイできます。

 

とはいえ、DVDプレイヤーのリモコンでゲームをプレイしなければいけないので、アクションゲームといったものには基本的に向きません。

 

では、そんな不自由しかない形態のゲームが、どんなジャンルと親和性が高いのか………

 

このブログを読んでいる皆さんには当然分かりますよね?

 

そう。

 

『18禁ゲーム』です。

 

――――――――――――

 

小学生の頃は「友達と遊ぶためのもの」だったテレビゲーム。

それが小学校高学年から中学生の頃にかけては、いつからか「ゲームをプレイするためにゲームをする」というように、俺の中での立ち位置が変わってしまっていた。

 一緒にゲームをプレイをする友達とは疎遠(同じクラスにいるけど)になり、親からプレイステーション2を買ってもらった時に、コントローラーは本体に同梱されていた1個以上に買うことはなかった。

 そして、目を充血させながらゲームショップで真剣に選ぶゲームは、『ロールプレイングゲーム』ばかりになっていくのだった。

 

山梨県の俺が住む地域には『ファミコンショップ桃太郎』(以下『桃太郎』)というゲームショップのフランチャイズ店舗があり、ゲームを買うときはいつもそこに行っていたし、ゲームを買わないときにもそこに行っていた。つまり、いつも居た。

 『桃太郎』には、そこでのみ使えるポイントカードである『桃太郎カード』なるものがあり、ポイントが満点まで溜まると次の買い物が1,000円値引きになるという、お得な特典がある。

 

それは置いといて、ここで何が言いたいかというと、この『桃太郎』によって俺の人生が未来永劫、闇に閉ざされてしまったということである。

 

――――――――――――

 

「………」

 

俺はいつものように『桃太郎』の店舗の中で、最近やっとクリアした『シャドウハーツ2』の次にプレイするゲームを探していた。

 

俺を除いたら、店の中には20代後半くらいのロン毛の店員しかいない。それもそうで今日は平日、しかも昼間である。なぜなのかは察して欲しい。

月に貰える小遣いの額が限られているので、俺の懐にはクリアしたばかりの『シャドウハーツ2』を売って得た1,000円ちょっとのお金と、既に持っていたお金を足した合計『3,000円』が入っていた。その範囲内で購入できるゲームを、なんとかかんとか探す必要がある。

俺はその当時ロールプレイングゲームばかりプレイしていたので、まずはそのジャンルが陳列されている棚から次のゲームを探すのだが、今回はどうにも食指が動くものが見つからない。

煮詰まってきたので、少し視点を変えてアクションゲームやシミュレーションゲームが並べられた棚にも目を移す。

 

(やっぱり、あんまり良いのが無いな……)

  

当時の俺は、ほとんど””勘””でプレイするゲームを決めていた。

少ない小遣いの中から最新のゲーム情報誌を購入する費用を捻出するには懐の負担が大きすぎるし、「このゲーム、面白かったぜ!」と言って薦めてくれる友達もいなかった。もっぱら、ゲームを買うときは『表紙』と『裏表紙の内容説明』だけに頼るしかなかったのである。

当然、そんなことをしていると、ゲームを選ぶのには途方も無い時間がかかる。「買ったゲームがつまらなかったらどうする……?」という気持ちが強すぎるあまり、ゲームの表紙と裏表紙との”にらめっこ”を数時間繰り返してしまったことも、1回や2回じゃない。

なんにせよ、俺にとって買うゲームを選ぶことは『賭け』であり、『自分との勝負』なのである。

 

そうやってウネウネしていたら、遂にはゲームコーナーの端の方まで来てしまった。

 

普段の俺だったら『もう一回、最初から棚を漁りなおすか……』となるところだが、今日は何故だか目に入ってしまった。

 

アレが。

 

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アレ

「………」

 

周囲を見回す。

 

俺が店に入ったときと同じで、客は誰一人としていなかった。

ロン毛の店員も、客が少ないことに気を抜いているのか、レジの内側で目を瞑って微動だにしない。

 

「………」

 

背中から汗が流れるのが分かった。

心臓が大量に血液を送り出すのも感じられる。

 

「………」

 

おじゃましまーす。

 

「ほほ……笑」

 

そこには、異次元が広がっていた。

プレイステーション2のソフトよりも一回り大きい箱に、アニメ絵の女の子が描かれたものが大量に陳列されている。

ゲームショップだからなのか、箱に描かれているのは二次元の可愛らしい女の子が多い。少し見渡すと、隅の方にブサイクな現実女性がレーズン色の乳首を晒しているDVDが、申し訳程度に置かれていた。

 

急に眩暈みたいなものが来た。

 

家に置いてある『地獄先生ぬ~べ~』で俺が甘勃起した、女の子のちょっとエッチなお色気描写がお遊びみたいに思える。

 

「おっ……」

 

圧倒されている場合ではない。

 

入ってしまったということは、『いずれ出なければいけない』ということである。

 

ここでの選択肢は2つ。

 

『早く出る』か『買うソフトを持って出る』かである。

 

「………」

 

でも、それはほとんど意味を成さない選択肢だった。

俺は若かったし、それに、人並み以上の性欲もあったからだ。

 

―――――――――――

 

「2,980円です」

「ぁいっ…!」

 

無事に(無事ではない)、買う商品を手に取り魔境から出た俺は、周囲に誰もいないことを確認し「え?いつもこうやって買ってるけど?」みたいな顔でレジの前までやってきた。(と思う)

 

「あ、はい、に、に、にせんきゅうひゃくはちじゅうえんですね」

「はい」

 

なるべく店員と目を合わせないようにする。

早く会計を済ませて帰りたい……。

 

「あ」

「ぃぃん!!!」

 

店員が急に声を発するから異常な反応を返してしまう俺。

 

「カードありますか? 桃太郎カード」

「あ、あ、あ、はい、あります」

 

(なんだ、そんなことか……)

 

内心ほっとする俺。そうだ、後ろめたいことは何も無い。

ただ、ゲームを買うだけなんだから。

 

財布から『桃太郎カード』を抜き出して渡す。

今までに、何回も繰り返した仕草。

 

「………!」

 

そこで、俺はあることに気づいてしまった。

 

(年齢……!)

 

そう、『桃太郎カード』を作ったときに、住所・氏名・電話番号等に加えて、『年齢』を書かされたことを思い出したのだ。気づいた瞬間、自分の顔が勝手に真っ赤になっていくのを感じる。見えなくても。頭で。

 

「……?」

 

俺の狼狽に気づいたのか、店員は怪訝そうな表情を浮かべる。

 

「あ、大丈夫です」

「………」

 

何が””大丈夫””なのか、俺は自分でも分からなかったが、店員の方はカードに印字されたバーコードを読み取る作業に戻っていた。

 

(いやいや、そんなの簡単に年齢の情報を見れるわけないから大丈夫だろ、そうそう、大丈夫)

 

自分に言い聞かせる。

 

「はい、確認しました」

「……」

 

特に何も無く、俺の手元にカードが返ってくる。

 

(乗り越えた……)

 

後は、俺が出した3,000円が20円のお釣りになってお終い。

 

簡単だね。

 

「ありがとうございました~」

「……どうも」

 

レジ袋に入ったゲームを、汗がたっぷり滲み出た手で受け取り、踵を返す俺。

 

じゃあね。

 

「あ、ちょっと待って」

「え?」

 

店員に呼び止められる。

 

「……なんですか?」

 

聞き返す。

 

 

「今回だけだからね」

 

 

「え?」

 

………

 

 

 

 

 

―――――――――――

 

家に帰るとすぐ寝た。

家族が全員寝静まるまで、このゲームを開けることも、プレイすることもできないからである。

俺の部屋には鍵が無く、深夜にならなければ、無神経な誰かが入ってくる可能性を捨てきれない。

 

ちなみに、今回買ったゲームはコレだった。

 

www.getchu.com

 

自分で調べてて懐かしくなってきた。

このゲーム、出てくる女の子は全員猫の耳と尻尾が付いているし、セックスの事を『にゃんにゃん』と言うし、女性器のことを『おみゃんこ』と言う。そんな決まりがあるらしく、よくエロゲーで卑猥な台詞に被さる『ピー音』が一切入っていない。

謎だ。

それでも女の子は可愛いし、ストーリーも当時の俺には刺さるものがあったみたいで、物語のエンディングでは感極まり、涙を流しながら放心状態になってしまった。(何で?)

 

さて、エロゲーといえば通常はパソコンゲームだが、俺の家のパソコンは家族共用で、普段は父親が仕事で使っている。そのパソコンにエロゲーをインストールするのはさすがにリスクが大きい。

で、このゲームはというと、DVDプレイヤー……つまりはプレイステーション2でプレイできるのだ。DVD-PG。渡りに船。

 

……

 

父親のひときわデカいイビキ声が家中に響き始めた時間。満を辞して俺はプレイステーション2にゲームディスクを挿入する。

 

「………」

 

ディスクを読み取る音が静かな部屋に響くと、少ししてゲームのタイトル画面が現れた。

 

「………」

 

 

あ。

 

 

そう。

 

 

その瞬間、全てが終わったんだよな。

 

 

 

 

 

おわり

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